「この熱鬧では話しにくいから、もっと静謐なところに来てくれないかな?」 花鶏と教室で会話することが多くなってきたが、今日は様子が少し違う。 教室は賑やかなので、ここでは話しにくいということだろうか。 僕は花鶏についていく。しばらく歩くと、周りにほとんど人のいない場所に着いた。 このような場所で2人きりになるというのは不思議な感覚だ。 花鶏もなかなか言い出せずにいるので同じ感覚を感じているのかもしれない。 「えっと……、単刀直入に言ったほうがいいよね」 そして花鶏はこう語った。 「私の家に、来てほしいんだ」 急な招待に驚いて戸惑っている間に、花鶏は言葉を続ける。 「君は私の詩を読んでくれたり、助言をくれたりした」 助言というのはこの前の親孝行のことだろうか。 「うん。贈答品、高価なものじゃないけど、両親も喜んでた」 それはよかった。 「それで、君の発案だってことを伝えたら、一度家に呼んでみたら?って」 それで僕を家に招待したのか。 「駄目、かな……?」 僕は承諾した。花鶏はほっとした表情を浮かべた。 それからいつ行くかについて話し合って、教室に戻った。 承諾したのはいいものの、女子の家はおろか誰かの家に行くのも初めてだ。 なんだか落ち着かない日々を過ごすことになった。